眠れない夜、閉じた瞼の裏に浮かぶ残像

自分の部屋に戻り、一人きりになると、夕方のあの「静かな緊張」が嘘のように静まり返る。 はずだった。

だが、明かりを消してベッドに横たわると、さっきまで隣にいた彼女の残像が、驚くほど鮮明に瞼の裏へ浮かび上がってくる。

台所に立つ、無防備な後ろ姿。 飲み物を置いてくれた時の、わずかな衣類の擦れる音。 そして、玄関で見送ってくれた時の、あの少しだけ寂しそうにも見えた、穏やかな微笑み。

「ただの考えすぎだ」と自分に言い聞かせても、一度火がついてしまった妄想は、夜の静寂の中で音もなく広がっていく。

もし、親友が席を外したあの数分間、僕が勇気を出して言葉をかけていたら。 もし、彼女も僕と同じように、あの沈黙の重さを意識していたとしたら。

そんな答えの出ない「もしも」を繰り返しながら、僕は暗闇の中で天井を見つめている。 現実には手が届かない距離にいるからこそ、妄想の中の彼女はより美しく、そして残酷なほどに僕を惑わせる。

今夜もまた、保管庫に新しいページが書き加えられていく。 明日の朝になれば、また「親友の友達」という仮面を被って、何食わぬ顔で過ごさなければならないのだけれど。

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